狼クン達のオリの中③【完】
「まぁまぁ、由梨ちゃん。
薫くんはね?
由梨ちゃんのためを思って――…」


「はぁ!?
冗談っ!
あたしのためを思って、着ぐるみ着せたり。
あたしのためを思って、裏切ってあたしを泣かせたり。
あたしのためを思って、盗聴器をしかけたり。
あたしのためを思って、蘭ちゃんとの楽しいバカンスを邪魔するなんて、悪魔いる!?

いたら…
いたら…

頭っからバリバリ喰ってやる――っ!!」


蘭ちゃんの優しさに触れて、怒り復活。


薫の首根っこを押さえて、頭に歯をつきたてようとしたあたしを――…


「薫くんなんだよっ」


蘭ちゃんが、ものすごい力で引っぺがした。
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