共に行く者
2人とも重く・暗い空気をまとっていて、声もかけずらかったらしい。

「まっ、しょうがないか」

「そっちの2人は?」

「何とか落ち着けた。それに話も少し聞けた。…利実のヤツ、戻りたいと言ってきたらしいな」

「ああ…やっぱり」

孝一は想像していたらしく、深くため息をついた。

「それでああなったワケだが、随分とふてぶてしくなったもんだな。利実は」

「真面目になった様子を見せて、何とかなると思っていたんだろうね」

「…もうそこまで甘くはできないんだがな」

オレも思わずため息が出る。

もうグループに戻ることはできないのだ。

アイツは調子に乗り過ぎた。

いくらオレ達が原因でも、あそこまでの暴走は利実自身に問題があったからだ。

自業自得。

これ以上関わっては、オレ達の方が持たない。

「やれやれ…。二泊三日の旅が、いきなり前途多難とはな」

「そうだね」

「まあ利実にはオレの方から言っておくわ」

「えっ、いいよ。僕の方から…」

「アイツが泣き落としをしたら、やられそうだからダメだ」

「ぐっ…」

「気にすんな。オレにはアイツの武器は何一つ通用しないだけだから」
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