共に行く者
「それはそれで問題なんじゃ…」

「バカな女に引っ掛からないことは、良いことだろう? まあ任せておけよ」

そう言うと、四人がトイレから出てきた。

「んじゃ、そろそろバスに戻るか」

休憩時間は終わりに近付いていた。

席替えをしても、全員暗い面持ちのまま。

他の乗客達も静かになってしまい、何だか申し訳ない気分だった。

あんな騒ぎを起こしたんだ。

素直に旅を楽しむことは、難しいだろう。

しかし運が良かったのか、今日はこのまま目的の旅館へ着き、そのまま自由行動に入る。

夕飯までは時間があるし、各々自由に動く。

オレは利実を近くの森に呼び出した。

ここは旅館から近いが、木が多く、広い。

多少騒いでも平気だろう。

「利実、お前いい加減にしろ。お前がこの旅行で最後にするというから、みんな参加したんだぞ?」

「分かってる…。でもヒドイんじゃないの? いきなりグループから抜けろなんて!」

あ~あ、すっかり逆ギレだよ。

「それだけヒドイことを繰り返してて、オレ達に迷惑かけといて、よくそんなことを言えるな。大学でどれほどオレ達の身がせまかったか、想像できるか?」
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