共に行く者
「気にするよ! …いざとなったら、警察でも何でも頼りなよ?」

「わーってるって。それよりそろそろ夕飯の時間だろう? 旅館に戻ろうぜ」

「…うん」

沈んだ孝一の手を引っ張り、オレ達は旅館に戻った。

夕飯は旅館の大広間で食べることになっていた。

が、予想通りと言うか、利実は不参加だった。

それどころか自腹で別室を取ったのだと、女性3人が怒りながら言っていた。

しかし怒りながらも、どこか安堵している。

昼間あんなことがあって、一緒に居辛かったんだろうな。

静かながらも、どこか柔らかな空気が流れたまま、夕飯は終了。

その後、オレは仲間達を呼びかけ、男性部屋に集まった。

そしてさっき利実とした会話を伝えた。

仲間達は終始険しい表情をしていたものの、それでも一安心したようだった。

しかし利実の怒りの矛先が、オレ1人に向けられたことについては、さすがに心配していた。

けれどオレの腕っ節は知っているし、身内には警察関係者もいると言って聞かせると、渋々ながらも納得したようだった。

…孝一1人除いては。

視線が痛い。ザクザク刺さっているよ。
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