共に行く者
オレはあえて孝一を見ず、そのまま温泉風呂に入り、寝ることにした。

他の2人も精神的に疲れていたんだろう。

早めの就寝となった。

オレは夢も見ず、ぐっすり眠れた。

とりあえず、肩の荷は下りたのだから…。

そして翌朝。

爽やかな起床。

朝食も大広間だったが、やっぱり利実は来ない。

今日は旅行会社のプラン通りの行動をしなければならない。

女性達に頼んで、連絡を取るように言った。

3人はイヤイヤながらも頷いた。

ケータイ電話で連絡を取ると、どうやら体調が悪いので参加しないと言っているらしい。

ガイドさんにそのことを伝え、オレ達は利実を旅館に残してツアーに参加した。

ここで残れば、また厄介なことになる。

幸いにも仲間達はツアーを楽しんでいた。

途中、土産物屋で利実への土産を買うか女性達が悩んでいたのを、オレは止めるように言った。

僅かな期待も持たせてはいけないと―。

彼女達は少し迷ったが、従ってくれた。

利実をこれ以上、甘やかしてはいけないと分かってくれたんだろう。

夕方、旅館に戻ると、ガイドさんは利実の様子を見に行った。

夕飯を大広間で食べていると、複雑顔のガイドさんが戻って来た。

どうだったか聞くと、暗い声ながらも大丈夫だと言ってきたらしい。
< 23 / 48 >

この作品をシェア

pagetop