共に行く者
明日は午前中、自由観光をして、バスに乗って帰る。

明日のことについて、どうするか仲間達と話し合った。

さすがにこのまま利実をほっとくわけにはいかなかった。

この旅行の目的は、縁を切る為だ。

最後に楽しい旅行をして、終わらせるというのが条件なんだ。

それを違えた場合、利実からどんな因縁をつけられるか分からない。

とりあえず、孝一が連絡を取った。

すると明日は一緒に行動したいと言ったらしい。

とにかく、明日はできるだけ利実の機嫌を損ねないようにしようと、結論がついた。

その夜、オレは中々寝付けなかった。

明日で本当に終わりにできるのか、珍しく考え込んでしまったからだ。

布団の中に入って1時間後、耐え切れずに寝室を後にした。

茶の間に行き、冷蔵庫からビールを取り出した。

窓際にはイスとテーブルのセットがあったので、障子戸を開け、月見酒をすることにした。

「はあ…」

ビールを一口飲むと、苦味が舌にきた。

ビールは好きな方なんだか、今日はやたらに苦く感じるのは気のせいか?

「和城」

「ん?」

寝室から、孝一が出て来た。

「寝付けないみたいだね」

「あ~、わりぃ。気になったか?」
< 24 / 48 >

この作品をシェア

pagetop