共に行く者
孝一はオレの隣で寝ている。

何度も寝返りを打ち、ため息をつけば、気になっただろう。

「ううん。僕も寝付けなくてね。寝酒、付き合うよ」

「ああ」

孝一も冷蔵庫からビールを取り出し、オレの向かいのイスに腰を下ろした。

「明日のことが原因?」

「今はそれしかねーだろ?」

「だね。彼女達も、眠れていないだろうね」

「同性は異性よりも厄介みたいだからな」

「揉め事は特に、ね」

利実に男を取られた女達が、彼女達を責めている場面を、何度も目撃した。

精神的に参っているのは、彼女達の方だろう。

「幸いなことは、利実ちゃんが和城と約束を交わしたことだけだろうね」

「でも口約束だぞ?」

「守るよ。3年以上もずっと好きだった相手なら、尚更にね」

「そんなもんか?」

「そうだよ。僕だって和城との約束だったらどんな内容でも守るし、和城だってそうだろう?」

「…だな。まあお前とは10年以上の付き合いだしな」

「正確には15年だよ」

「もうそんなになるのか?」

「うん。僕は和城と出会った時のこと、今でもハッキリ思い出せるよ」

孝一はとっても遠い目をした。
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