共に行く者
「僕が和城の家の隣に引っ越してきて、キミは興味があって、僕の家に侵入してきたんだよ。覚えてる?」

「覚えているが…正確には庭に侵入、だろう?」

「そうだね。二つの家を隔てる塀を登って、木に飛び移って来たんだよね。それがちょうど僕の部屋の真正面にその木があって…」

そうそう。

隣の家に人が来ると聞いて、オレは興味を持った。

そして塀をよじ登って、隣の家に植えてあった木に飛び移ったところで、孝一に見つかった。

二階の孝一の部屋は、今でも変わらずその場所にある。

「僕はビックリして、引っ繰り返ったんだよ」

「あん時、お前スッゴイ声出したよな」

アハハと笑うと、ギロッと睨まれた。

「笑い事じゃないだろう? その声を聞いてウチの両親と、キミの両親が何事かと駆けつけたんだから」

「ああ…そうだった」

不法侵入している姿をばっちり見られたオレは、親父からゲンコツを頭の上に落とされ、おふくろからは説教を30分間された。

「お前んとこの両親は許してくれたのに、オレの親はうるさかったなぁ」

「まあ苦笑はしてたけどね…。それに幼稚園に通っている子供が、あんな高い木に飛び移ったら、親としては心配だったと思うよ」
< 26 / 48 >

この作品をシェア

pagetop