共に行く者
「…なぁ、何か外おかしくないか?」

バスが動いている振動もない。

本当に止まっている。

「ああ、この霧だからね。バスが止まっているんだ」

「あっ、そうか」

考えてみれば何てことない。

「霧の異常発生か?」

「うん、そうだね…」

孝一がどことなく、物悲しそうに言った。

「あっ、そうだ。さっき土産物屋で面白いもの買ったんだ」

孝一は服のポケットから、小さな紙袋を取り出した。

「何買ったんだ?」

「トパーズのケータイストラップ」

袋の中から1つ、黄色の石が付いたケータイストラップを出した。

「トパーズって確か、パワーストーンだったか?」

「そうだよ。トパーズの石言葉って知ってる?」

「いんや」

言葉と共に、首を横に振ってみせる。

「友愛・潔白・友情・希望・名誉」

「よく知っているな」

「パワーストーン付きのケータイストラップ売り場だったからね。石言葉の説明書があったんだ」

「なるほど」

「このトパーズに、昨夜の誓いがピッタリだなと思って、おそろいで買ったんだ」

袋からはもう1つ、ストラップが出て来た。

「おいおい…。女性組にからかわれるぞ?」
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