共に行く者
「彼女はここへ残しても、和城の害になるだけ。なら僕が彼女を連れて行く」

「待てっ! ならオレが一緒に行く! それで良いだろう?」

しかし静かに首を横に振られた。

「キミは…ダメだよ。とっても魅力的な言葉だけど、それじゃあ昨夜交わした誓いを汚してしまう」

「孝一!」

「誓いの指輪じゃないけど、ストラップを渡せただけで、僕は充分だ。不要になったら捨てていいから」

「捨てるもんか! お前から貰った物なら、何1つ忘れていないし、失くしてもいない!」

「…ありがと。僕もキミと同じで、和城から貰った物は何一つ忘れていないし、失くしてもいない。全て記憶や体験と共に、大事な僕の宝物だ」

オレは必死に体を動かした。

もうこの状態がどういうことなのか、分かったからだ!

このまま孝一を行かせるわけにはいかない!

ましてや利実と一緒になんて、行かせてたまるか!

「最後にキミとこうして話せて良かったよ」

そう言ってドアへ向かう。

「行くなっ! 孝一! ここにいろよ!」

「キミとはずっと一緒にいたいよ。でも…僕にはムリなんだ」

孝一は再び苦笑すると、ドアの前へ立った。

するとドアは音も無く開いた。
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