共に行く者

旅立ちの日

それから二ヵ月後、オレ達は旅行に来ていた。

金をかけずに済む、バス旅行にした。

旅行会社のプランを選んで、みんなで予定を合わせた。

「アタシ、バス旅行なんてはじめて!」

利実がはしゃいだ様子でバスに乗り込んだ。

しかしオレ達の胸の中には、1つの大きな不安があった。

―利実は本当に、グループから抜けてくれるのだろうか?

という不安だ。

その不安は日に日に大きくなっていった。

真面目な態度を崩さなかった利実、その態度の裏に秘めている心が、決して真面目ではないことに薄々感じていたのだ。

しかし旅行を中止にするわけにはいかない。

オレ達は決して何を言われようが、利実を二度と受け入れないことを決めていた。

バスの席順は男女で分かれた。

女性4人は一番後ろの後部座席、男性は2人ずつ席に分かれた。

そしてオレは孝一と同じ席になった。

「…何だか難しい顔をしているね? 和城」

「ん? そうか?」

自分の顔を両手で包み込み、グニグニ揉んでみる。

「利実ちゃんのこと、心配?」

考一は声を潜め、そっと後部座席を見た。

「まあ、な。修羅場になる覚悟はしとかないとな」

オレは苦笑し、肩を竦めた。
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