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8.
「行こ、さゆりちゃん。」

“私”は“さゆりちゃん”の、つまりは、私の腕を取り、強く引いた。



私は“私”に殺されるのだろうか。

“あの日”、“さゆりちゃん”は、ここで死んだのだろうか。




違う。
ここから落ちたのは、
“私”の方だ。

三枝ほたるが、ここから落ち、死ぬはずなのだ。



「ほたるちゃん。」



“あの日”の“さゆりちゃん”の声が、頭の中に響く。



「ほたるちゃん。」


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