君に恋した瞬間、
そんな俺を、冷は少し切なそうにみて言った。
「いつも思うけど、その弁当誰が作ってんの?」
冷は俺の家の事情を知っているから、これに関して疑問なんだろう。
自分自身も対して気にしてなかったから、そういえば・・・とただ弁当を見つめた。
「・・・さぁ、知らね」
ただその一言呟いて、また箸をすすめる。
父親は、俺が10歳のときに母親と離婚した。
兄はもう、自立しどこか知らないとこに住んでいて、弟はそんな兄についていった。
母親は、キャリアウーマンで自由人な人で外国に行って仕事をしている。
俺はただ一人、ただ一人家に残っている。
俺しか居ない家に、もう慣れてしまった。