君に恋した瞬間、
「すまん、すまん!つい魔が差した!」
「いいことは、それだけ?」
「いや、本当にすいやせんでした!」
手を合わせて祈るように俺を見つめる冷。
俺の殴りたい気持ちは半端じゃない・・・。
ぼっこぼこにしたい気分。
だけど、何度もこいつに救われた気がする・・・。
さっきだって、わざと明るく・・・・。
「・・・はぁ」
今回だけだから、俺は冷にそういうと拳を下げた。
まさか自分がこんなにも律儀な性格だなんて・・・。
冷は殴られなかったことに少し驚いた表情を見せた。
それでも安心したのか、急に笑い出し「馬鹿みたいだ」と繰り返していた。
空がやけに蒼くて綺麗で太陽が輝いていた。
きっとこのときが、一番幸せだったのかも知れない。
これからの自分は想像できない程、苦しくて切なくて・・・そんな未来が待っているんだ。