P U R E -ダイスキ、
夏になりかけの蒸し暑い日。
クーラーもない暑い暑い部室は、全開の窓から時々生ぬるい風が舞い込む程度。
窓際のあたしでも、あまり涼しいとは感じないくらい。
「真衣ちゃん、少し音ずれてたよね?」
「あと全体的に3年、力みすぎてる」
先生や先輩から、次々とアドバイスが飛ぶ。
ストレートだけど的確なアドバイスにみんな真剣に聞き入っていた。
コンクール前でなんとなくみんな…特に引退前の3年はぴりぴりしてるのが見て取れる。
あたしもがんばんなきゃな!!
楽器を持ち替える拍子に、ふとグランドを見た。
もちろんあたしの目は一瞬で匠を見つける。