P U R E -ダイスキ、
甘い嘘*
「ただいま〜」
「おかえりー!
匠くん今日〜…て、はる、匠くんは?」
お玉を持ったまま玄関まで走ってきたお母さんは、不思議そうにあたしに聞く。
「…彼女できたんだって」
ローファーを脱ぎながら静かに答えた。
「あらほんと!!
まあ、あれでいない方がおかしいわよねぇ…」
納得しながらキッチンへ戻るお母さん。
そう、そうなんだ。
いない方が奇跡に近い。
チャンスなんていっぱいあったのにね?
ばかなのはあたしだ。
再びへこみながら二階の自分の部屋に上がった。