ラスト・ラン 〜僕らの光〜

「"以上"」

「えっ」

「"あーすっきりした。これでこころおきなくあの世に行けるよ"」

「ちょっと待って」

「"じゃあな、凛子。三浦と仲良くしろよ"」

「ちょっと待ってってば、隼平」

「…」

「…」

「悪い。前田、もう行った」

「そんな…。私何も伝えてないのに。隼平、勝手過ぎるよ」


いつの間にか、空の向こうで夕日が顔を出している。

公園が橙色に染まり、神秘的な雰囲気だ。

「そろそろ帰るか」斗真がジャングルジムを降りても、彼女はずっと下を向いたまま微動だにしない。


「青柳。先に行くぞ」


ねえ、と声がした。

振り向くと彼女はジャングルジムの上に立って、こちらを見下ろしていた。


「おい、危ないぞ」

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