ラスト・ラン 〜僕らの光〜
「本当に隼平、行っちゃったの?」
「…ああ」
「本当にいないの?」
「だからもう行ったって言ってるだろ。何度言わせるんだよ。それより早く降りてこいよ」
「…」
彼女はひどく落胆した様子で、それから観念したのか鉄パイプ製の骨組みに手をかけた。
その時だった。
「きゃっ…」
足を踏み外し、彼女の体が宙に浮いた。
「凛子っ」
体が、とっさに動いていた。
砂埃が舞う。
体中に衝撃が走った。