ラスト・ラン 〜僕らの光〜
気が付くと、斗真の腕の中で彼女が体中に覆い被さるようにして倒れている。

どうやら間一髪で助かったみたいだ。
ほっと一安心する。

慌てたように彼女が起き上がった。


「だ、大丈夫?三浦く──」

「お前、重くなったなあ。腕へし折れるかと思った」


馬鹿、と斗真は心の中で唱えた。


「というか三浦の体が軟弱なのか」

「え…」

「あーあ、最後まで黙っていようと思ったのに。俺だよ、俺」


彼女は信じられないものを見るように、目を見開いた。


「もしかして隼平なの?」

「ああ。三浦に頼んでちょっと体貸してもらった」

「そんなことって、できるの?」

「その代わり少しの間しか借りれないけどな。あんまり居座ると三浦の寿命が縮まるらしい。あいつはそんなこと気にしてなかったけど」

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