ラスト・ラン 〜僕らの光〜
川を渡ると両岸が提灯で彩られており、遠くの方で屋台をセッティングする音が響いている。

そういえばもうすぐ夏祭りだ。

毎年夏の季節が近付くと一足先に花火大会が開かれ、いつもは人通りの少ないこのサイクリングロードも地元の人たちや観光客で賑わっていた。


「今年は見られないのか…」


思わず呟くと、耳の奥で三浦の声がした。


「綿菓子、供えてやるから安心しろ」


ふっ、と笑みがこぼれる。


「せめてりんご飴にしろよ。俺大好きなんだよ」

「そうかよ。ずいぶんかわいい奴だな」

「どうしたの?何の話?」


前を歩いていた凛子が振り返る。

三浦の声は俺にしか聞こえない。

代弁してやると、凛子はくすくすと小さく笑った。
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