ラスト・ラン 〜僕らの光〜
やがて数メートル先のところで電信柱が見える。


──あの電信柱までどっちが先にゴールできるか勝負しよう。


あの日、俺と三浦はここで初めて一緒に走った。
いわば、ここが俺たちの原点だ。


「勝っても負けても恨みっこなしだぞ」

「ああ」


スタートラインで立ち止まり、俺はゆっくりと目を閉じて深呼吸をした。

ふわ、と体の力が抜ける。

目を開けて隣を見ると、三浦と視線が合った。


「ありがとな」


いや、と三浦は首を振る。

それから二人でスタートラインに並ぶ。


「青柳、合図頼む」


凛子が右手を上げた。


目を閉じる。

風が、頬をなびく。





「位置について…よーい」







──────「ドンッ。」







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