ラスト・ラン 〜僕らの光〜




世界中には様々な愛のカタチがある。






朝起きて下に降りると、キッチンの奥で母がオムライスを作っていた。

父は食卓で新聞を広げている。

母がこの家を出て、およそ二週間ぶりに訪れたいつもの光景だった。


「おはよう、斗真」と母。

「おはよう。よく眠れたか?」と父。


いつもと変わらない笑顔。

ふと足元にあったゴミ箱を見ると離婚届がくしゃくしゃに丸めて捨ててあった。

朝食を始めても両親に会話はない。

二人の気持ちは分かっていた。

全ては、俺のためだということを。



「もういいよ…」


静かにスプーンを置いた。

父と母が揃ってこちらを見る。


「もう俺のために無理することないよ」


離婚していいよ、と言い残し、斗真はリビングを出た。
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