ラスト・ラン 〜僕らの光〜
広がる青空の下、真夏の太陽が灼熱の風を運ぶ。
汗ばむ体を手で仰ぎながら廊下を歩いていると、彼女の後ろ姿が見えた。
「おはよう、青柳」
「あっ三浦君。おはよ、う…」
振り向いた途端、まるで不思議なものを見るように顔を覗き込む青柳に、斗真は首を傾げた。
「どうした?」
「なんだか吹っ切れた顔してる」と青柳はいった。
「そうかな」
「何かいいことでもあった?」
「うん…。ちょっとだけ前に進めたかなと思ってさ」
「前に?」
「また今度ゆっくり話すよ」
「うん聞かせて」
そうだ、と斗真はポケットの中から便箋を取り出した。
「今からこれ先生に渡してくる」
「…」少しの、間。
「何?」
「ううん。ついに悪徳勧誘の被害者出たね」
「警察に通報しようか」
ふふ、と青柳は嬉しそうに笑った。