ラスト・ラン 〜僕らの光〜

「あのさ、青柳」


窓の外から部活動のかけ声が聞こえる。

青柳の長い髪が風になびいて、微かなシャンプーの香りが鼻先を過ぎった。


「ずっと言ってなかったけど…

好きだよ」


目を丸くする彼女。


「どうしたの、急に」

「いや、なんか言いたくなった」


気恥ずかしさを感じた斗真はじゃあまたな、とその場を逃げるように離れる。





「三浦君」


ふいに、後ろから抱きしめられた。







「私も好きだよ。大好き」







石けんのようなシャンプーの香り。




そして、甘い甘い

こんぺいとうの匂いが二人を優しく包む─────。







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