ラスト・ラン 〜僕らの光〜
世界中には様々な愛のカタチがある。
前田と出会い、青柳に恋をし、俺は新しくひとつの愛のカタチを学んだ。
グラウンドの裏に建っているプレハブの廊下には、学校新聞や複数の写真が貼られている掲示板がある。
それらを眺めていると、見慣れた顔が目に入った。
一際目立つように貼られているその一枚の写真は、青空に向かって金色のトロフィーを掲げている笑顔の前田が写っていた。
──走り終えた達成感が味わえる場所っていうか、ゴールにどことなく似てるんだよ。
テープを切った瞬間に歓声が上がる時のと一緒で。
あの瞬間が好きだから、俺は走ることやめられないんだ。
なあ、前田。
俺も見れるかな。
その瞬間を。
斗真はゆっくりと、前へ歩き出した。
入部届という未来切符を手にして。
完