ラスト・ラン 〜僕らの光〜
2
川を越えて少し歩くと住宅街が見えた。
「ここが俺の家」
三階建てのその家は一階がガレージになっており、二階が玄関になっている。
二階に続く階段を途中まで上がったところで前田が振り向いた。
その視線を追うと、向かいの家を見ているようだった。
彼の表情がどこか暗い。
「どうした?」
斗真が訊くと、前田は小さく首を振った。
「いや、何でもない」
そういって、前田は階段を一気に駆け上がる。
斗真は再度、向かいの家に目を移した。
それからあっと声を漏らした。
よく見ると、"青柳"と表札があった。
そういえば二人は近所だといっていたな。
恐らく青柳凛子の家だ。
まだ帰ってきてないのだろうか。
もしくは出かけているのか。
学校の終業時間はとうに過ぎたというのに、その家は暗闇に包まれており、人の気配が感じられなかった。