ラスト・ラン 〜僕らの光〜





川を越えて少し歩くと住宅街が見えた。


「ここが俺の家」


三階建てのその家は一階がガレージになっており、二階が玄関になっている。

二階に続く階段を途中まで上がったところで前田が振り向いた。

その視線を追うと、向かいの家を見ているようだった。

彼の表情がどこか暗い。


「どうした?」


斗真が訊くと、前田は小さく首を振った。


「いや、何でもない」


そういって、前田は階段を一気に駆け上がる。

斗真は再度、向かいの家に目を移した。

それからあっと声を漏らした。

よく見ると、"青柳"と表札があった。

そういえば二人は近所だといっていたな。
恐らく青柳凛子の家だ。


まだ帰ってきてないのだろうか。
もしくは出かけているのか。


学校の終業時間はとうに過ぎたというのに、その家は暗闇に包まれており、人の気配が感じられなかった。
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