ラスト・ラン 〜僕らの光〜
母親が答える。


「真里なら上で凛子ちゃんと寝てるわよ」


斗真は思わず母親を見やる。


「凛子、来てんの?」

「さっき真里とご飯食べて、二人とも眠たいって言ってたから上で寝てるんじゃないかな」

「そういうことは早く言ってくれよ」


前田は慌てたように白飯を平らげると、口元にご飯粒をつけたままリビングを出ていってしまった。

それからすぐに階段の奥の方から前田の声が聞こえた。


「三浦も来いよー」


えっ、と斗真は顔をしかめた。

しかし前田の強引なところにはもう慣れてしまっている。

仕方なく残りの白飯を一気に口の中に放り込み、前田の両親に「ご馳走様でした。おいしかったです」と頭を下げてリビングを後にした。

古びた階段は上るたび、ギシギシと音が鳴る。やがて奥に扉が見え、その隙間から前田の声がした。


「ここで寝てっと風邪引くぞ、凛子」


斗真はどきり、とする。
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