ラスト・ラン 〜僕らの光〜
慌てたように青柳が立ち上がる。


「ちょっと隼平。三浦君いるならそう言ってよ」


半ば怒り口調になりながら「気が利かないな、全く」と青柳はしわくちゃになった制服を整えはじめた。


「なんか、…ごめん」


のこのこと部屋にやってきた俺も悪かったのかもしれない。

斗真が謝ると、青柳は手を振って恥ずかしそうにいった。


「ううん。こっちこそなんか、みっともないところ見せちゃったね」

「いやそんなことないよ」


学校の中ではしっかりした性格ゆえ実は全く隙がないと密かに彼女に好意を抱いている男子に敬遠されている青柳だが、彼女の新たな一面を目の当たりにして斗真は少し優越感を覚えていた。

しかしその優越感はすぐに消え去った。


「いつもあんな感じだろうが、お前は」

「うるさい。隼平は黙ってて」


やれやれと前田はため息を吐いて、ベットの上で週刊少年ジャンプを広げる。

幼なじみとは羨ましいものだ。

あんな無防備な青柳の姿を毎日見ていられるのだから。

二人を応援している身とはいえ、時々前田が憎らしく思える。
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