ラスト・ラン 〜僕らの光〜
青柳の両親は彼女が生まれた時には離婚していた。

今は母親と二人で暮らしているが、その母親はほとんど家を空けている。

たまに帰ってきたと思えばどこで稼いでいるのか、はたまた誰かに稼いでもらっているのか、出処の分からない食費を数万程青柳に渡して、またどこかへ出かけていってしまうそうだ。

自分の母親と少し似ていることもあって「母親失格だな」と斗真がいうと、青柳は諦めたように

「捨てられるよりはマシだよ」

といった。

その目はどこか寂し気に見えた。






「驚いたろ」


帰り道、先を歩いていた前田がいった。


「凛子のこと、あんまり他には言わないでやってな」


斗真は頷いた。

人というのは分からないものだなとつくづく思う。

青柳はいつも明るくて笑顔で、家庭に問題を抱えているようにはとても見えなかった。

さっきの目もそうだ。

あんな寂しそうな顔をする青柳を初めて見た。
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