ラスト・ラン 〜僕らの光〜
「凛子ずっと一人だったからよく俺が面倒見てたんだよ。凛子のおばさん、家が近所ていうだけでしょっちゅう俺の家に凛子預けてきて。それでずっと一緒にいたもんだから今じゃ凛子は妹みたいな感じなんだよな。まあ俺にとっては真里もいるし、家族が一人増えても変わらないんだけどさ」
「だから仲良いんだな、お前ら」
「毎日喧嘩してるけどな」
そういって前田は屈託なく笑った。
恐らく青柳はいつも前田のこの無垢な笑顔に救われてたんだろうな。
なんとなくそう思った。
「そういうわけだから三浦もたまには遊びに来いよ」
サイクリングロードに着くと、前田が振り返った。
斗真は眉を顰める。
「何がそういうわけでどういうわけなのか分からねえし」
「だからさ凛子もいるし。遊びに来いって。なんなら毎日でもいいぞ」
「はあ?」
「母ちゃんもお前のこと気に入っててさ。ほらイケメンだし、お前のこと韓流スターのナントカって奴に似てるらしいんだよ」
「誰だよ、それ」
「あと今時の子にしては礼儀が正しいってめっちゃ褒めてた」
斗真は前田に疑いの眼差しを向ける。
「…お前、一体何が目的だ」
「えっ何が」
「さっきからやけに持ち上げてくるけど、そうやって俺をおだてて陸上部に入部させるのが目的なんだろ」
「まさか」