ラスト・ラン 〜僕らの光〜
斗真は口をつぐむ。

前田の肩越しに青柳の姿が見えたからだ。

青柳は小走りで二人の前に来ると、息を切らしながら斗真を見上げた。


「三浦君も隼平の家に行くんでしょう。一緒に帰ろ」





惚れた弱みとはこの事か。




結局、勉強を教えてほしいという青柳の頼みを断れずはずもなく、数分後には前田の部屋で参考書を開いている自分がいた。

我ながら情けない。

第一前田の家じゃなく、青柳の家でいいのに。

まああの話を聞けば青柳がよく前田の所に入り浸っているというのも納得できるし、彼女はきっとあの家にいたくないのだろう。

その気持ちは俺も同感だ。

あんな居心地の悪い所で空気を吸いたくない。
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