ラスト・ラン 〜僕らの光〜

「三浦君はどこの大学志望?」


前田がトイレに行った後、青柳が訊いてきた。


「今はまだ考えてないな」

「私も一緒。でも三浦君は頭良いからどこの大学でも選べるものね」

「それを言うなら青柳もそうだろ」

「ううん私なんて駄目よ。三浦君に敵わない」

「何だよ、それ」


ふふ、と青柳が小さく声を立てて笑う。ピンク色の唇に白い歯が映える。


「青柳は夢とかあるの?」


なんとなく訊いてみたくなった。

青柳は少し困ったように首を傾げると、それから人差し指を斗真の口元にゆっくり寄せた。


「誰にも言わない?」

「え、あ、ああ…」


青柳が顔を息がかかる位の距離に近付けてきたので驚いて仰け反る。
心臓の音がこれ以上ないぐらいに激しく波打っていた。
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