ラスト・ラン 〜僕らの光〜
「あのね」よく見ると睫毛が長い。
「私、お嫁さんになるのが夢なの」
そういって、恥ずかしそうに笑った。
その仕草があまりにもかわいくて、斗真は理性を失いかけそうになった。
「よくある普通のことなんだけど、私、家族とみんなで幸せに暮らすのが夢なんだ」
青柳はそれからも何かを話していたけれど、彼女の顔に見とれ過ぎて、話の内容が全く頭に入ってこなかった。
やばいな。
前田と青柳を応援すると決めたのに、この気持ちはどんどん加速するばかりだ。
今まではなんとか途中までセーブできていたのに。
青柳の母親のことが自分の境遇と重なって、それでますます親近感がわいたというか、それまで遠かった青柳が近く感じるようになったのもあるだろう。
想えば想う程に、俺が虚しくなるだけなのに。
青柳は俺のことをどう思っているのだろうか。
きっとただの同級生としか思っていないんだろうな。