ラスト・ラン 〜僕らの光〜

もう期待を抱くのはやめよう。

どうしたって前田と青柳の間には誰にも越えられない壁がある。

少し休憩したら帰るか。

トイレを出ると、前田が立っていた。


「どうした?腹でも壊したか」

「いや…」

「ふうん。今日は悪かったな。映画、つまんなかっただろ」

「別に。おかげで眠気がふき飛んだよ」

「何だそれ。昨晩、寝てなかったのか」

「徹夜で勉強してたんだよ」


嘘だ。

本当は今日青柳に会えることを楽しみにしてなかなか寝付けなかった。

もちろん前田に本当のことを言えるはずないが。

「さすが優等生」前田は茶化すようにいって、頭をがしがしと掻いた。


「俺さ、先帰るわ」


えっ、と斗真は前田を見やる。
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