ラスト・ラン 〜僕らの光〜
「隼平から聞いた?なんか用事ができたっていって帰っちゃった。あっこれ三浦君のコーヒー」
「ありがとう。うんさっき別れた」
「そう。観たいもの観てさっさと帰っちゃうんだから冷たいよね」
「はは、前田といえば前田らしいけどな」
コーヒーの湯気が立ち上る。
どうやら前田は青柳には用事ができたと嘘をついたようだ。
「ねえこの後、どうする?」
青柳が訊いた。
ふいに、我に返る。そんな感覚を覚えた。
今のこの状況は斗真がまさしく夢に描いていたシチュエーションだ。
一応、これはデートというのだろうか。
デートという単語が脳裏に浮かび上がると、だんだんと現実味を帯びて緊張感が斗真を襲う。