ラスト・ラン 〜僕らの光〜
「やるよ」
そういってショートパンツのポケットから取り出したのはこんぺいとうがぎっしりと詰まった小さな瓶。
その瓶を、隼平は凛子に渡した。
「それお守りだからな」
「お守り?」
「ああ、凛子をずっと見守ってくれるお守り。俺の願いがそれに詰まってるから」
「何のお願い?」
「"この先、凛子が幸せになりますように"。ずっと持ってたら幸せになれるから、絶対になくしたりするなよ」
「本当に?分かった、絶対になくしたりしない。ずっと大切に持ってるよ」
「よし」
ポンポンと凛子の頭を撫でる隼平の手は優しく、温かった。
その日の夜は隼平と並んで眠りに落ちた。甘い香りに包まれながらその時見た夢は幸せだったような気がする。
隼平と一緒に、夜空の星を掴んだ夢。
やっと掴んだそれは金色に輝いた、甘い甘い金平糖だ。
それでも良かった。
金平糖を手にした二人は顔を見合わせて、無邪気に笑う。
それだけで凛子の幸せだった。