ラスト・ラン 〜僕らの光〜

「大丈夫だよ。前にもこういうことあったんだろ。きっとどこかで遊んでるんだよ。すぐ帰ってくるって」


いいながら、斗真は胸騒ぎを感じていた。

ふと、前田と最後に交わした言葉が脳裏を過ぎる。


──俺の妹だかんな。大事にしろよ。






「ねえ三浦君」青柳の目が真っ赤に潤んでいる。

「大丈夫だよね」






大丈夫だ。

きっと何事もなく帰ってくる。



能天気なあいつのことだから「ごめんごめん」と笑いながら帰ってくるんだ。

それから青柳が責め立てて、喧嘩する二人の間に俺が仲裁に入って…。



そう、いつもの光景に戻るはずだった。








時に────────────────────────神様は残酷な試練を人間に与える。






数日後、彼は変わり果てた姿で俺たちの前に現れた。



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