ラスト・ラン 〜僕らの光〜
前田の死を知り、青柳はその日から学校を休むようになった。

告別式にも顔を出さなかった。




当然だ。




物心がついた時からずっと一緒にいたのだ。

兄同然だった前田を失ったのだ。




青柳の深い、悲しみはきっと計り知れない。


彼女に何もしてやれない自分が悔しかった。




「じゃあな」

「あっ、三浦君…」青柳はいった。

「いつも、ありがとう。…ごめんね」


今にも泣き出しそうな、顔をしていた。

斗真は彼女の華奢な肩を優しく抱き寄せる。


「また明日も来るよ」

「うん」


彼女は泣かなかった。

前田の死を知ったときからずっと、俺は彼女の涙を見ていなかった。

それが余計に、歯痒くて仕方がなかった。
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