ラスト・ラン 〜僕らの光〜
この感情を嫉妬と呼ぶには当てはまらないが、前田のことを話す青柳が一瞬だけ遠く感じた。

彼女の小さな背中が今にも消え入りそうで、斗真は思わず抱きしめた。

ぽつり、と彼女は呟いた。


「隼平が死んじゃったのは私のせいなのかな」

「えっ…」


ふいに訪れた生温かい唇の感触。

青柳とキスを交わすのはこれで二回目だった。


「三浦君、お願いがあるの。聞いてくれる?」

「うん」

「あのね」

「うん」

「抱いてほしいの」


それまで斗真の胸に顔を埋めていた青柳と目が合った。

こちらを見上げる潤んだ瞳は吸い込まれそうな程、我を忘れそうになる。

高鳴る、心臓の鼓動。


「いいの?」

「…うん」

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