ラスト・ラン 〜僕らの光〜




彼女の全てを手に入れたい。





ガラス細工を扱うように優しくきゅっと包み込むと、彼女の肩が揺れた。

柔らかな長い髪に触れる。

それからゆっくりと首筋をなぞるように唇を落とすと、彼女はぎゅっと目を閉じて甘い吐息を漏らした。

額に、瞼、鼻、ピンク色の唇、その形を確かめるようにキスをする。

彼女はぴくり、と身体をわずかに震わせて、華奢な腕を斗真の首に廻した。

何度も何度も唇を交わし、お互いを求め合う。




彼女から、ふわっと甘い匂いがした。



これは、何だっただろう。



お菓子のような、どこか懐かしい。





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