ラスト・ラン 〜僕らの光〜




「…あ」彼女の身体が揺れる。







そうだ。



──────こんぺいとう。









「やっぱり、やめよう」


斗真は彼女の腕を振りほどき、静かに立ち上がる。

どうして、と問う彼女に、背を向けて答えた。


「俺は青柳の寂しさを埋めるために抱きたいんじゃない」


ふと、目の前にあったチェストの上に複数の写真立てが飾られている。

その中に青柳と、前田がツーショットで写っている写真があった。

小学生ぐらいの時だろうか。

二人ともまだ幼く、あどけない笑顔で幸せそうに笑っている。

長い、長い歴史を目の当たりにしたような気がした。
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