ラスト・ラン 〜僕らの光〜
外灯の光が照らすサイクリングロードは人気がなくひっそりとしていて、昼間と違う顔を出していた。

斗真はひたすらに、狂ったように走り続ける。


「どうして勝手に逝くんだよ…」


自動販売機で買ってきた炭酸飲料を飲み干し、もう一缶を前田の供え物に添える。

誰かが持ってきただろう複数の花束は色褪せ、萎れてしまっていた。


「大事な妹なら、置いていくようなことするなよな」


大の字に寝転んで、星空を見上げた。

人間は死んだら星になるという話があるが、あの中のどこかで前田は俺たちを見守っているのだろうか。


──お前なら陸上部の星に絶対なれるよ。


あんな事を言っていたくせに、お前が本当に星になってどうするんだ、と斗真はくっと肩を揺らした。
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