ラスト・ラン 〜僕らの光〜
もうあいつとは会えないのだ。
そう思うと、今日までぼやがかかって曖昧だった前田の死というものに実感がわいてきた。
だんだんと目頭が熱くなる。「…ふざけるなよ」
「おい帰って来いよ、前田。帰ってこないと陸上部に入ってやらねえぞっ」
空き缶を勢いよく川に向けて投げる。
「馬鹿野郎っ。なんで死ぬんだよーっ」
それから声が枯れるまで叫び続けた。
空の向こうまで届くように、ずっと。ずっと。
──ら。
なあ、前田。
──浦。
お前なら、どうする?
──浦。
青柳を、彼女を。
救いたいんだ。
──三浦。
彼女の、笑顔を取り戻したい。