ラスト・ラン 〜僕らの光〜
気が付くと、私はいつの間にか写真立てを胸に抱きしめて眠りに落ちていた。

何時間程、そうしていたのだろう。

寝起きでぼんやりとしながら壁時計を眺めているとインターホンが鳴り響いた。

階段を降りてリビングルームに設置されている液晶画面を見るや否や、急いで玄関先に向かう。

扉を開けると、門の向こうに彼の姿があった。

目が合うと彼は軽く会釈をして、優しく微笑んだ。


「三浦君…」


昨日の今日だ。

もう彼は来てくれないと思っていた。


「おはよう。青柳」


何もなかったように目を細める彼に少し戸惑いながらも、私も笑って挨拶を返した。


「おはよう。三浦君」

「今日もいい天気だな」

「そうだね」

< 73 / 121 >

この作品をシェア

pagetop