ラスト・ラン 〜僕らの光〜

「たまには一緒に学校行こうと思ってさ。青柳がよければだけど。どう?」


私はためらった。

その様子に気付いた彼が心配そうに私の顔を覗いた。


「やっぱり、まだ無理?」


こくり、と小さく頷く。

せっかく彼がこうして来てくれたのに申し訳なく思いながらも、今はそんな気持ちにはなれなかった。

通学路の途中であの川を渡る。

それには隼平が亡くなった場所を通らなければ学校に行けないのだ。

まだその一歩を踏み出す勇気はなかった。


「そうか。無理言ってごめんな」


謝る彼に、私は首を振った。


「こっちこそごめん。三浦君の家、正反対の方向なのに。無駄足になっちゃったね」

「いやそんなことないよ」


少しの、間。


「じゃあさ」


彼はいった。「今からどっか行かない?」


えっ、と私は顔を上げる。
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