ラスト・ラン 〜僕らの光〜

「学校さぼって、青柳の行きたいところに行こう」

「でも、」

「よし決定。そうしよう。用意してきて。待ってるから」


そういって彼は門の前で腰を下ろしてしまい、その有無も言わさない姿勢に断る術もなく、私は仕方なく外に出かける準備をすることにした。

洗面鏡の前で髪を櫛で整える。



三浦君ってあんなに強引だったっけ。

なんだか隼平みたい。



それでもどこかで浮き足立っている自分がいて、昨夜のことで彼との関係が終わらなくてよかったと安心していた。

家を出ると、どこで着替えたのか制服を着ていたはずの彼はTシャツにジーンズという私服姿に変わっていた。

服をどうしたのか、と聞くと


「いつも走ってるから、この時期は汗ばんで気持ち悪いし、一応代えの服を持ち歩いているんだ」


ともっともらしい理由をつけて答えた。

私はなんとなく、彼は本当は最初から学校に行くつもりはなかったんじゃないだろうかと思った。

優しい彼のことだ。

三浦君なりに私を元気付けようとしてくれているのかもしれない。
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