ラスト・ラン 〜僕らの光〜
それにしても、私は彼の着ているTシャツに妙な違和感を覚えていた。

デジャウではないが、どこかで見たことあるような気がしてならないのだ。


「三浦君って、ローリング・ストーンズ好きだったんだね」

「えっどうして」

「そのTシャツってCD限定のモデルでしょう」

「え、ああ。これか。ああそうなんだよ。よく分かったな」

「三浦君にしては珍しいなって。洋楽派のイメージはあるけど、ロック系が好きだとは思わなかった」


そうだ。思い出した。


「昔、隼平も一時期ファンだった時があって。三浦君と同じようなTシャツ着てライブよく行ってたな」


ふうん、とだけ呟くと彼は足早に前を歩いた。

いってから、私は後悔した。

不機嫌にさせてしまったのだろうか。

昨夜のことがあってから、私と彼の間に隼平のことを持ち出すのはタブーのような気がした。
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