ラスト・ラン 〜僕らの光〜
ふいに、心の中を読まれたのかと思った。

長い、沈黙が漂う。

切れ長の目は何かを訴えるように、強い眼差しを向けている。

「──が」しばらくして彼は重い口を開いた。


「前田が、そう言ってる」

「…どうしてあなたに分かるの?」

「前田がそう言ってるから」

「どういうこと?」

「今、ここにいるんだよ」


私は眉をひそめた。

訳が分からない。

一体、彼は何が言いたいのだろう。


「今ここにいるんだ、前田が」

「…」

「信じてもらえないかもしれないけど、前田が視えるんだよ。どうしてか分からないけど俺だけしか視えないらしいんだ」


しばらくの、間。

「何それ」やっと理解した私は苦笑する。


「隼平の幽霊でも視えるっていうの?」


こくり、と彼は頷いた。
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