ラスト・ラン 〜僕らの光〜
どうしてしまったのだろう。

突然思いもよらない話を持ち出されてただただ、あ然とするしかなかった。



嘘は、やはりついているようにみえない、でも。



からかってるのだ、としか思えなかった。

もし仮に幽霊というものが本当に実在するのなら、それは願ってもいないことだ。


どんな形でもいいから、隼平と会いたい。

でも会えない。

どうしたって会えない。


そのことが私を苦しませているのに、彼は。

彼だって分かっているはずなのに。



どうして、こんな時に。



冗談にしては、あまりにも度が過ぎている。





「それで前田は──」

「もうやめて」彼の言葉を遮る。



もう聞きたくない。


私は彼を鋭く睨みつけ、吐き捨てるようにいった。


「三浦君がそんなに人の気持ちを考えられないような人だとは思わなかった」


青柳、と私を呼び止める声が聞こえる。

私は振り返らなかった。




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