ラスト・ラン 〜僕らの光〜
家に帰ってすぐにベットに転がり、布団の中で丸まった。

小さな瓶の蓋を開けてこんぺいとうを一つ口にする。

甘い、砂糖の味が口の中に広がった。

頬に冷たい雫が伝った。




私は泣いていた。




隼平を失ってから、ずっと涙が出なかったのに。

泣きたくても泣けなかったのに。





「会いたい…」





会いたいよ、隼平。






公園で母を待っていたあの頃の風景が脳裏を過ぎる。

どこを見渡しても誰もいなくて、まるで一人この世界に取り残されたみたいでずっと悲しくて寂しかった。

もうあの時のように隼平が迎えにくることはない。



一人、なんだ。私は。





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